■本屋さんがセールをやらないのは、どうして？

欲しい服があってもセールになるまで我慢する、あるいは、お金がないときには閉店間際のスーパーで値引きされた惣菜を買って節約する、というのはもはや常識かもしれません。

出版物が再販制度という仕組みで守られているため

でも、こうしたセールとはまったく無縁のお店があります。書店です。
なぜ書店がセールをしないのかというと、出版物が再販制度という仕組みに守られているからです。

簡単にいうと、メーカー(出版社)がつけた定価を、小売店(書店など)が守らなければならない、という決まりのことです。つまり、勝手に安くしたりしてはいけないのです。
これは、文化の多様性の担い手である書籍や雑誌、新聞、音楽用CDなどに特別に認められている制度です。

こんな制度があるにもかかわらず、出版社が儲かってしかたがない、という話はあまり聞きません。

日本の出版物は、「委託制」と呼ばれる流通制度によって販売

出版社がいくら「この本は売れる！」と思っていても、本当に売れるかどうかは書店に並べてみなければわかりません。
一方で書店は、売れるかどうかがわからない時点で新刊を仕入れしなければならず、リスクが伴います。

そこで、書店は、後日返品できるという条件で本を買い取っているのです。こう見るとしっかり制度で守られているはずの出版社もギャンブル性が高いのです。
洋服なら売れなかったものはセールで処分すればいいのですが、本は再販制度があるため値引きもできません。

この制度によって読者はさまざまな種類の本を目にできる

この制度、読者にとって損な気もしますが、それと引き換えに、出版社は広く全国の書店に本を並べられるし、書店や読者はさまざまな種類の本を気軽に手にすることができるというメリットがあるのです。

近頃、電子書籍が話題になっていますが、本がデータでやり取りできるようになれば、こうした状況も変わっていくかもしれません。ただ、電子書籍はまだまだ発展途上です。今後どうなっていくのか、本好きの人にとっては気になるところでしょう。

お金に関する雑学

原価や値段の雑学

★高級レストランのランチ、なぜこんなに安くできるの？ ★タマゴの値段が昔からほとんど変わらない理由 ★なぜドラッグストアの食品はスーパーより安いのか？ ★コンタクトレンズの原価はたったの10円 ★化粧品の原価は1％未満で値段のほとんどは広告費 ★電化製品の「オープン価格」って、結局はいくらなの？ ★本屋さんがセールをやらないのは、どうして？ ★ホットペッパーなど「フリー」なペーパーが成り立つワケ ★硬貨だけではクルマが買えない理由 ★映画の料金は、なぜどの映画館も同じなの？ ★航空券を格安で手に入れる取っておきの方法とは？ ★遊園地などのパスポートは本当にお得なのか？ ★知っていたら便利な各国の「チップ」事情 ★マンションの価格のカラクリ ★人には聞きづらい、本当のところの葬儀の値段